とても楽しみにしていた遠乗りが中止になって、エドガーは驚いて王様の元へ行きました
ノックもせずに部屋へ飛び込むと王様に聞きました
「どうして遠乗りは中止なの?」
王様は答えます
「マッシュの体調が悪いからだよ」
そんな事はエドガーだってもちろん知っています
「でも・・・でも、僕はこんなに元気なのに!どうして僕だけじゃいけないの?」
「エドガー!」
急に怒鳴られてエドガーは驚いたと同時に悲しくなりました
「・・・父上なんて・・・大っ嫌いだ!!」
涙を堪えながら大声でそう叫ぶとエドガーは部屋を飛び出して自分の部屋に閉じこもってしまいました
双子のお父さんは、いつも双子と遊んでくれますが、最近、忙しいようで中々遊んでくれません
少し寂しく思っていた時、遠乗りの話が出てきたのです
ベッドの上で膝を抱えるエドガーの胸の中で遠乗りが中止になった残念さと、怒鳴られた悲しさがぐるぐる渦を作ります
『凄く楽しみにしてたのに・・・』
『どうして怒られなきゃいけないんだ!』
その渦の中から黒いものが顔を出しました
『マッシュのせいだ!』
『マッシュが病気になんてなるから・・・』
『マッシュなんて居なくなっちゃえばいいんだ!』
そう思ったときです
「僕のせいだ。兄上、凄く楽しみにしてたのに・・・僕のせいで・・・」
隣の部屋から苦しそうな咳と共に泣きそうな声が聞こえました
「兄上、僕のこと、何か言ってた?」
それはとても小さな声でしたがハッキリとエドガーの耳に届きました
その瞬間、エドガーはハッとしました
楽しみにしていたのは弟だって同じ事だったと気づいたからです
そして、王様が怒鳴った訳も・・・
『もし、僕が置いていかれたら凄く悲しかっただろうな』
それと同時にマッシュを疎ましく思った自分を恥じました
『体が弱いのはマッシュのせいじゃないのに、居なくなればいいなんて・・・』
隣の部屋からもう声は聞こえません
『具合が悪いのに僕のこと気にかけるなんて・・・』
「そうだ!」
エドガーは立ち上がると部屋を飛び出して行きました
エドガーは森へ行くと、胡桃を沢山拾いました
それから、お城に帰ると又、部屋に閉じこもってしまいました
「よし!出来た!!」
エドガーは胡桃を箱に入れてマッシュの部屋に向かいました
マッシュの部屋の前まで行くと、ちょうど世話係が出てくるところでした
世話係はエドガーに気づくと礼をしてから言いました
「エドガー様、マッシュ様は寝ておいでです。御用が有るのでしたらお伝え致しますが?」
エドガーは持っていた箱を世話係に渡しながら言いました
「これをマッシュに渡して!絶対だよ!!」
そう言うとエドガーは嬉しそうに自分の部屋へ戻って行きました
次の日、エドガーと元気になったマッシュは二人で次の遠乗りの計画を立てていました
箱の中身はもちろん胡桃
でも、それ以上は仲の良い双子の王子だけの秘密です