「これからお主が行くところに居る、ある人たちに届けて欲しい」
黒髪の剣士は鳩に言った
机の上に居る・・・いや、横たわっている鳩がこれから向かうのはこの世の場所ではない
死した者たちがいく場所
『神の国』と呼ばれる場所
それをわかっていて、この剣士は頼んでいるのだ
手紙を届けて欲しいと
ゆっくりと足に手紙を結びながら剣士は鳩に話しかける
「こちらは、殿下・・・ドマ王に渡して下され
神の国では、お主も人の言葉を話せるだろう
何とかして見つけだしてくれ
そして・・・こちらは、拙者の家族に渡して欲しい」
手紙を結び終わると、鳩を両手で掬うように持ち上げると外に出る
そこは見晴らしの良い、山の頂だった
先に掘っていた穴に鳩を横たえると
一掬い一掬い手で土を被せていく
鳩の体は見えなくなっていき、最後には土の山があるだけとなった
剣士は造花と心ばかりのギルを供えると呟いた
「旅立つお主には余計な荷物かもしれぬな・・・」
(しかし、頼むで御座る)
手を合わせ、深々と頭を下げると鳩が舞い降りてくるのがわかった
その鳩に合わせて剣士は鳩の入っていった洞穴へと続いた
これから鳩は手紙を届けるだろう
大切な人から手紙が来ると信じ続けている女性に
剣士の最愛の君主と・・・最愛の家族に・・・
『 陛下、そちらでは、不自由ありませぬか
気心の知れた家臣も沢山居ります故、快適にお過ごしかと存じます
小言を言う拙者が居らぬと言って、我侭ばかり言われてはいけませぬぞ
この度、もう少しお暇を頂きたいと思いこうして筆を認めております
しなければいけないことがありまする
それを終えるまで、そちらには行けませぬ
どうか、ご承知頂けるよう、重ねてお願い致しまする 』
『 二人とも、達者でやっているか
拙者は何とかやっている
何も心配しなくて良い
いつでもお前たちの事を思っている
そちらにはまだ行けぬが、いつかの時には暖かく迎えてくれ
愛している 』
手紙=心を伝える物
カイエンのローラに出す手紙には「絶対に生きて帰る」「君のために」「今すぐに会いたい」「愛している」等
国を守り、王を守る者として絶対に言ってはいけなかった言葉や、恥ずかしくて言えなかった言葉が書かれていると思います
伝えるべき人が居なくなった事で、カイエンの中で溢れていったんじゃないかと考えながら書いたSSです
カイエンの喋り方がおかしいですね・・・。