『ガコン』と音がした。『ガコン』だ

…と、言う事は勿論

「リバン!!」の声と共に、体育館に試合終了のブザーが鳴り響く

あぁ…やっぱり外しやがった。と、結果を見れば

「「32-31」」

今のシュートが決っていれば、ウチの学校の逆転勝ちだったわけね…。

スコアボードからコートの中に目を戻すと、勝利を祝い合う相手チームとは裏腹の仏頂面―シュートを外したヤツが突っ立っている

「鈴鹿ぁ―!」と大声で呼んで、ヤツが私に気が付いた所で「ぶわぁぁぁーかっ!!!」と親指を下に向けて更に大声で言ってやった

 

リングにめがけてシュート!   

 

自転車置き場から自分の自転車を見つけて、籠にバッシュの入った巾着袋とユニフォームやデオドラントスプレーとかが色々入ったバッグを放り込む

「鍵〜…かぁぎぃ〜…」

制服のポケットを漁っていると、後ろから不機嫌そうな声がした

「…おい」

声の主は判っているが、私の名前は「おい」ではないので無視

見つけた(バッグの外ポケットに入っていた)鍵を自転車に差し込んで軽く回すと音がしてロックが外れた

と、後頭部に重い衝撃

「いだっ!!…てめっ!…何すんだ!鈴鹿!!」

「無視してんじゃねぇよ!!」

「私の名前は『おい』ではありませんので」

「…てんめぇ…」

「ついでにてんめぇでも無い。お前はヤギか。」

思ったことを本人に言うついでに、私の頭に投げつけられた鈴鹿のバッシュ(の入った巾着袋)を拾う

「それに、普通女の子にこんな物投げつける!?」

「女の子ぉ…?」

鈴鹿は「女の子なんてどこに居んだよ?」とワザとらしく辺りを見回している

そうきましたかコノヤロウ!!!

腹が立ったので、鈴鹿のバッシュを放り投げてやろうかと振りかぶる…あ。スンゴイ良い事考えた。

投げようとしていたバッシュを籠に入れると、素早く自転車に跨り試合後の疲れた体をフル稼働してペダルを漕ぐ

後ろから「あ!てめぇ!!」とか声が聞こえてくるけどキニシナーイ!

馬鹿のクセに私を馬鹿にした罰ですよ!!

初夏の風も私に味方して追い風だ。自転車はぐんぐんスピードを上げていく

「さいっこぉー!きっもちいぃーー!!!」

校門から続く坂道を急降下で下っていく。後ろへ後ろへと景色が過ぎていって、まるでこれから離陸する飛行機になったみたいだ

(でも、気をつけないとね。人にぶつかっちゃったら大変だから)

途中から軽くブレーキをかけてスピードを落としてから、人が居ないか確認しつつ左に曲がる(あぁ…このGが堪らない!!)

風とスピードに乗ったまま走る自転車を満喫していると、いつの間にか鈴鹿の声は聞こえなくなっていた

 

 

 

いつもの公園の入り口で自転車を止めると自販機でジュースを2本買う

ブランコに座ってから蓋を開けて飲む

「くっはぁぁぁぁっ!美味い!!」

試合&自転車本気(マジ)漕ぎの後はコレに限るね!と満足していると、公園入り口にヘロヘロ(ボロボロ?)の鈴鹿が現れた

やっぱりバッシュの為に全速力で走って着いてきた様だ。中腰になって膝に手を置き肩で息をしている。

「やぁ!お疲れ!!」

片手を上げて爽やかな声(笑顔付き)でそう言うと、鈴鹿は恨めしそうに私を見てから大股でこっちに近づいて来た

「…あ…天使…おまへぇ…!」

「おまへぇって!やっぱりヤギか!!鈴山羊に改名したら?」

軽口を叩きながら疲れて声が出ないらしい鈴鹿にさっき買ったジュース(開いてない方)を投げてやる―…あー。やば。又、中腰になってる…

500mlのペットボトルは見事に鈴鹿の頭に直撃して、土の上に落ちた

「…てめ…!」

「あぁー…今のは不可抗力ってヤツ…?」

「何で疑問系なんだよ!?」

「鈴鹿のクセに疑問系とか言わないで下さい。むしろ、さっきバッシュを頭にぶつけた仕返しと思え」

早口でそう言ってやるともう反抗する気力も無いのか、鈴鹿は黙ってペットボトルを拾ってから隣のブランコに腰掛けてジュースを一気飲みした

「ぶはぁっ!生き返る!!」

「150円です」

「奢りじゃねぇのかよ!?」

「うん」

「ちぇっ」

手を差し出すと、渋々…と言った感じで鈴鹿が制服のポケットを漁ってから「ホラよ」と手を差し出す

「毎度!」と受け取ると明らかに小銭とは違う質感がした

不思議に思って手を開いてみると現れたのは―飴・レシート・ガムの包み紙…等など

「…これは…ナンデスカ?」

「そのうち150円以上の価値があるようになる」

シレッとそう言ってから、またジュースを飲みだしたので「ふざけんな」と力を込めて鈴鹿の頭にハタキを入れると鈴鹿は盛大にジュースを噴出した

「きったねー!きったねー!!」

「お前が叩くからだろ!?」

「鈴鹿が馬鹿な事言うから!ってか、口から垂れてるし!!エンガチョ!!ガッピ!!!」

「お前なぁ…」

「そんなに睨むな!元はと言えば…あぁ、もう!顔洗ってきなよ!!」

「…そうする」

ペットボトルを地面に置くついでに鞄も地面に下ろしてから、鈴鹿は水場に向かったので

自転車に籠の中の鞄から使ってないタオルを引っ張り出して水場まで行くと、鈴鹿は頭から水を被っていた

(…あ)

その姿は私の頭の中にあの日の光景をダブらせた

そうだ…私はこれに良く似た光景を見た事があったな…

 

 

 

 

 

最高に口が悪い主人公ちゃんです。「自分とそっくりだな…」と思いました(笑)

鈴鹿のタイプの女の子とは全くの正反対ですが(「クスッ」って笑うヤツでは無いですので)

こんな女の子と絡ませたら面白いと思いました

主人公ちゃん=いい子・元気だけど大人しい…等のイメージがあったのでそれをぶっ壊しつつ書きました

書いてて凄く楽しいです!