「こほん、天使エクセレントだ!」

「君は氷室学級のエースだ!」

「天・・」

「・・・姉ちゃん・・・何やってんの?」

急にかけられた冷たい声

ドアから覗いている声の主と目が合う

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

「ぎゃーーー!」

我に返った私が一番に発したのは悲鳴だった

 

 

「あー耳イテェ!」

「尽、人の部屋に入る時はあれ程ノック・・・」

「何回読んでも降りてこない方が悪いんじゃないの?テストの勉強してるのかと思えば・・・」

「わー!ストップ!!」

階段を下りながら交わされる会話

どうやら勝ち目は無いらしい

 

 

リビングに下りると両親は既にテーブルに着いていた

「四葉、勉強もいいけどご飯の時は降りてきなさいね?」

お母さんの言葉に頷くと、ニヤニヤ顔の尽

「母さん、姉ちゃんさぁ・・・ぐッ!」

思い切り足を踏んでやった

「ほらほら、喧嘩しないで!食べましょう?」

その言葉に私がさっさとテーブルに着くと

涙目の尽の口が『後で覚えてろよな』と動いた

 

 

食事が終わり、お風呂に入る準備をしているとノックの音がした

しかし、返事を待たずに入ってくる

そんなヤツは我が家で一人しか居ない

「さっきので足、とっても痛いんだけど?」

生意気な口調に負けじと言い返す

「あんたが余計な事言おうとするからでしょ!!」

「・・・姉ちゃん、そんな事言っていいのかな?」

 

こほん、とわざとらしい咳払い

まさか!と思ったが時既に遅く・・・

「天使、エクセレントだ!」

 

 

きっと、顔が真っ赤になっているだろう

「・・・で、何で氷室先生の真似なんてしてたの?」

言葉に詰まる私にもう一回やっとく?と尽は意地悪い目線を寄越す

わかったわよ!そういいながら本を差し出す

「何これ・・・『これであなたも幸せゲット!〜絶対に効く』おまじないぃ??」

プッと噴出すとニヤケながら本を受け取りページをめくる

・・・絶対に馬鹿にされてる・・・

 

「えーと・・・?」

「さ・・・31ページ・・・」

 

静かな部屋にパラパラとページをめくる音だけが響く

 

「お!これか?何々・・・・・

『試験や、試合などの前日に褒めて欲しい人の真似をしながら自分を褒めます。

これで、貴方の頑張りが伝わり、きっと褒められ』・・・ぎゃはははは!

ね・・・姉ちゃん、こんな事信じてるんだ!!」

「し・・・仕方ないでしょ!だって、氷室先生に褒められたいんだから!」

 

言ってしまってから、しまった!と口を押さえる

チラっと尽を見ると、ポカンとしてこっちを見ている

(・・・うぅ・・・絶対馬鹿にされる!)

 

「まぁ、精々頑張ってよ?」

下を向いた途端に言われた言葉に驚いて目を上げると

本を置いて部屋から出て行こうとしている後ろ姿が見えた

 

欲しい漫画の新刊が出るんだよねー?よろしく!と言いながら閉められる扉

何だか知らないけど、一応応援してくれてる・・・んだよね?

 

 

立ち上がって本を持ちパラパラとページをめくる

 

本当は、褒めてもらえなくてもいい

声を掛けて欲しい

名前を呼んで欲しい

そして、私だけを見て欲しい

でも、私は只の『生徒』・・・

 

「私は氷室学級のエースだ!!」

 

ため息をマネしながら自分に喝を入れることで押し込めると

ふいに脳裏に蘇った顔と声

 

『君は氷室学級のエースだ』

 

何だか本当に言ってくれた気がして

きっと頑張れる・・・そう、思った

 

 

 

 

 

おまじないお題はすべて私が○年前にやったことのあるものを書いているのですが・・・・・・・・痛いな自分!書いていて、とても恥ずかしくなりました

でも、やっていた時は真剣だったんだよなぁ・・・とか、凄く照れながらも懐かしく思いました

主人公ちゃんはパラオール100超えなので、ちゃんと褒めてもらえます!